手放していたことに、気づかなかったこと

「どうしてあの子を手放してしまったんですか?」

去年の暮れ。焼肉大仙での会話。

プロジェクトの担当だった方と、大聖路でラーメンを食べることになっていたのだけれども、
行ってみると営業していなかったので、そのまま焼肉大仙に流れてのことだ。

焼肉大仙は、外観も内観も、お世辞にもキレイとは言えない。オッサンしか入らないような焼肉屋だ。
サービスも良いとは思えない。しかし、肉はうまい。保証する。

ついでに言うと、チャーハンもうまい。

池上の大聖路というお店に、客に媚を売らないカッコイイ婆がいるからってことで飲みに来た手前、
普通のお店に入ることが許されなかったのだ。

大聖路から焼肉大仙に抜ける、たったワンブロック、人1人通れるだけの裏道は、
池上の住民でも通ったことのある人のほうが少ないだろう。

池上の情報屋を名乗るからには、たまに演出が必要な場面がある。
こういった、想定外の場面でも、落ち着いてBプランを選択できるのが、情報屋だ。

しかし、まだ肉が来る前に出てきたその言葉「どうしてあの子を手放してしまったんですか?」に、私は動揺を隠せなかった。

「いや、手放したつもりはないよ。」

本当に、私は、その子を、手に入れていたつもりも、手放したつもりも、無かったのだ。
この担当は、私が何を手に入れていたと言いたいのだろうか。

「今はその時期じゃないだけだよ。」

そう返すのが精一杯だった。

お洒落すぎる。

それにしても、「どうしてあの子を手放してしまったんですか?」なんてお洒落な言い回しが、ここで出てくるとは思わなかった。
焼肉大仙は、外観、内観、共に、お洒落さの欠片も無いお店だ。

どう考えてもデートで行くようなお店ではないからね。オッサン同士で行くのが正解。
しかし、肉はうまい。

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ここのお店は、生ビールよりも瓶ビールを頼んだほうがいいと思うし、
おしぼりのにおいが気になる人は、ウェットティッシュを持っていったほうがいいと思う。

けど、本当に保証するよ。肉はうまい。

そこから私は上の空だった。
焼肉大仙に居るのに、その一言がお洒落すぎて。

しかし、肉はうまかったよ。

つづくかもしれない。

この記事を書いた人

福田 文明

大田区タイムズ編集長・株式会社アイシテル代表取締役・Webディレクター。池上在住。大田区で地域活性化に取り組んでいる。代表的な取り組みは、池上本門寺通りフリーマーケット(大田区最大のフリマ。150ブース出店)・池上本門寺朝市(30店舗出店)など。

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